「五月のミル」原作より(3)
一家の長が亡くなると必ず行なわれるのが遺産相続の類。
ヴュザック家の財産相続人は、長男ミルと次男のジョルジュ、そしてすでに亡くなってしまった長女の娘クレールの三人。・・・なんだけど、この長女の娘クレールがちとこわい。男といわず女といわずすべての人を敵に回しているみたいなところがあって、かつ挑発的。レズビアンで、今回も女友達マリー=ロールを連れてやってきた。

その彼女、書斎に安置されている祖母の遺体をのぞきこみ、一言。

「老けたわね」

そんな言葉にちょっと驚いた連れのマリー=ロール、こんな反応を示します。

Ça doit te faire de l'effet, quand même ?

字幕がなければ一瞬、どういう意味かわからない。少なくともわたしには。でも今となってはどんな字幕がついていたのか覚えていない。使われている言葉ぜんぶ知っていても言ってることがわからない。言葉の意味がわからなくて意味がわからないのはあたりまえだが、言葉の意味はわかっていてもひとつのフレーズになると意味がとれない。わたしだけじゃなくても、外国語を勉強している人は必ずぶちあたる「壁」。

以前見たTVドラマでの会話をおもいだす。

とある学校に有名なアイドルがやってくることになった。ここではそのアイドルの名前を仮に「プリオ」としておこう。あのプリオがやってくる!と学校中大騒ぎ。特に熱烈なプリオ・ファンの喜びようは半端じゃない。プリオが来るプリオが来る、と騒いでいるところにひとりだけ、しらっとした女の子が「プリオ?」と興味なさそうな風な反応を示す。
そこで熱烈なファンは彼女はこう言う。

Quoi, c'est tout l'effet que ça te fait ?

意味不明になりそうなので直訳は避けますが、この場合「なによ、そっけないわね」とか「それだけ?」とか、「あのプリオが来るのにたったそれだけの反応なの?」といった感じの意味です。

言い方は違うけどマリー=ロールの Ça doit te faire de l'effet, quand meme ? も、きっとこういうコトだろう。
「老けたわね」と冷たく言い放つクレールに対し「もっとなにか感じるものがあるんじゃないの?」とか「おばあさんが死んだのに、あなたにはたったそれだけの反応?」とか「もっと違う言い方があるはずでしょう」とか、または極端にいえば「何も感じるものがないの?」という意味なんじゃないでしょうか。

この何もかも人と違うクレールに対しても当然、好奇心娘フランソワーズのギモンは炸裂します。そしてまたお爺ちゃんにクエッション!

Françoise : Papie ! Pourquoi elle a pas d'enfant, tante Claire ?
Milou : Va le lui demander.
Françoise : J'ose pas.
Milou : Moi non plus.



「五月のミル」原作より(4)
| 2007/02/18 - 14h | 原作「五月のミル」より | Comment (0) | この記事のURL |


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